女子プロゴルファー
藤田 幸希さん
優勝記録
2006年 プロミスレディスゴルフトーナメント
2007年 プロミスレディスゴルフトーナメント
2008年 ゴルフ5レディスプロゴルフトーナメント
2010年 日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯
2011年 富士通レディース
私の父が医師から余命1年と宣告されたのは、2010年の秋頃でした。
病名は、C型肝炎からくる末期の肝硬変でした。
父は数十年前バイクで大きな事故に遭遇してしまいました。その際に大量の輸血を行ったのですが、医師が言うには「その輸血の時にC型肝炎に感染した可能性がある」と言っていました。現在の輸血はとても安全なのですが、当時の輸血にはそういった危険性も潜んでいたらしいのです。
今まで一瞬たりとも考えもしなかった「父の死」という、あまりに非情で残酷な現実を突きつけられました。その報告を直接聞いた時には頭が真っ白になり、何か言葉をかけようと必死に探したのですが、何も思い浮かばず、無情にも時間だけがすぎていくばかりでした。
しかし、このまま何も出来なければ確実に父は死んでしまう。移植をすれば助かる可能性はあるのだと自分を奮い立たせ、肝移植に向け、行動を起こしました。そして移植について調べていくにつれて、次第に様々なことがわかってきました。
日本は医療において先進国でありながら、移植に関しては海外に比べ、ほとんどが国内では行われていないという事。更に父以外にも、ずっと前から脳死移植を待っている方が大勢いるという悲しい現実が、今の日本の移植事情なのだと知りました。
父の場合、幸いにも生体肝移植が可能で、且つ適合するドナーがみつかり、その翌年の春頃に移植手術を行えることとなりました。そして無事手術は成功し、今現在順調に回復をしています。
私は父の手術の後からすぐに、ドナーカードを持ち歩くようにしています。私だけでなく、家族みんなで持っています。
それは今回の手術で脳死移植を待っている人が大勢いること、また海外で脳死移植を受けるには莫大な医療費がかかるということ。そして何より、高熱と腹水で毎日苦しそうだった父が、ドナーが見つかり手術が決まった時の、あの嬉しそうな顔が忘れられないからです。
私は今までに少しでも人の役に立ちたいと思い、定期的に献血などを行ってきました。しかし今回の件でドナーカードの大切さを知り、私の行動でいつか救える命があるならと、ドナーカードを持とうと思いました。
私の選択は一個人の小さな小さな選択かもしれませんが、近い将来にこの選択が、日本、世界に広がり、たくさんの救える命が救われる世の中になる事を心から願っています。