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私たちの思い「助かる命を助けられる国に」

瀬在 明 日本大学医学部 心臓血管外科講師
ハートtoハート・ジャパン理事 瀬在 明

助かる命を助けられる国に 『助かる命を助けられる国に』、この言葉は生まれつき心臓病と闘いながら18歳でドイツに渡り、心臓移植を行なった石田恵梨佳さんが第1回ハートtoハートで講演されたときに最後に語った言葉です。この言葉は日々医療現場で患者さんと接し、多くの命を助けているという思いで過ごしていた私を『今まで何をしてきたのだろうか。』という思いにさせてくれた強いメッセージでした。
日本は医療先進国であると国民の誰もが感じていると思います。しかし移植医療においては、世界で最も遅れている国であり、医療先進国の欧米だけでなく、アジア諸国からも遅れている国なのです。アメリカでは年間2000人、ドイツでは500人以上の心臓移植が行なわれ、心臓移植でしか助けられない多くの末期心不全の患者さんの命が助けられています。しかし、日本は年間0~数例の心臓移植しか行なわれず、多くの患者さんは移植を受けられずにお亡くなりになっています。海外では助けられる命も今の日本は助けることが出来ない国なのです。

新聞記事 2011年9月にドイツで心臓移植手術を受けた少女の記事

テレビ、新聞等で多額の募金を集め、海外に渡り、移植が成功したことが美談のように報道されます。多くの危険を伴って海外に渡るのは、日本にいては移植を受けることも出来ず死を待つのみだからです。裏にはとても多くの辛い思いが隠されているのです。日本で移植を行えば、その危険性は軽減され、患者さんやご家族の負担は軽くなります。また海外でもドナーが足りないのが現状であり、移植ができずに亡くなる方も増えています。このまま渡航移植を続けていけば、いずれ国際問題にもなりかねません。
移植医療は理解、人間愛、ボランティア精神によって成り立つものです。したがって、まずは理解を深めることが移植医療を推進させる第一歩と考えます。ドナーになる、ならないはその後の問題なのです。

臓器提供意思表示カード

『ハートtoハート・ジャパン』は多くの方々のご尽力で立ち上げることが出来ました。継続的に啓発活動を行なうことで、少しずつでもこの活動を皆様に理解して頂きたいと思います。私どもは『助かる命を助けられる国』になることを切に願い、これからも努力していきたいと思います。

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